Thursday, December 13, 2012

ヘリテージ:真珠湾攻撃の夜

 

 

The Heritage  Foundation 
ヘリテージ ワシントン ニュースレター No.66
 横江 公美 アジア研究センター 2012年12月13日  

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食品表示に規制は必要か?  
 
  アメリカでは選挙が終わってもすぐに議員は変わらない。新しい議員に入れ替わるのは年が明けた1月だ。そのため、今議会はまさにレームダック期間にあたるが、財政の壁、予算など、連邦議会にはそんなこと言ってられないほど問題が蓄積している。
 
今日は、あまり聞きなれない食品表示についての議論を紹介しよう。
 
現在、オバマケア(The Patient Protection and Affordable Care Act)の中にある食品表示に関する条項がレストラン業界では問題になっている。この条項は、レストラン、スーパーを含むあらゆる食品産業に対してカロリーなどの栄養価の表示を義務付けさせている。
 
マクドナルドはこの条項の施行に先立って自主的に全店でのカロリー表示を実施した。
例えば、ハンバーガーには250キロカロリー、脂肪9グラム、炭水化物31グラム、たんぱく質12グラム、ナトリウム480ミリグラム、と表示されている。
 
他のレストランチェーンでもこの表示が必要になる。
 
健康に良いとも言えるが、これがメニューの横に表示されると読みにくくなる。とりわけ40代後半以降の人には読みにくいだろう。しかも、これはコストを強いる。その費用は、Food Marketing Instituteのエリック・リーバーマンによると、1店舗あたりで年間最大4000~5000ドルに上ると計算されている。実際、行政予算管理局はこの法律は2010年度で3番目にコストが嵩む決まりであると言っている。
 
景気の低迷は外食産業に影響を及ぼす。12月5日ポリティコは、オリーブガーデン、レッドロブスターのチェーン店は、オバマケアを遂行するため、フルタイムの社員をパートタイムに切り替えざるを得ない、という声を伝えている。
 
また、 ドミノピザのようなトッピングが3400万種類にも上る フランチャイズにとって、この規則を履行することは不可能であるともいえる。
 
この規則に対して、上院のロイ・ブラント議員(共和・ミズーリ州)がThe Common Sense Nutrition Disclosure Act of 2012という法案を提出した。これは、食品の栄養やカロリー表示を義務ではなく、自発的に行うようにする法案である。この法案自体はオバマケアの条項を改訂したり削除したりするものではない。
 
アメリカでは、食品表示はすでに日本以上に進んでおり、いまさら規制化する意味がないという声もある。スーパーでは、食品表示がある物のほうがない物よりも売れていると言われる。こういった消費者心理を考えると、栄養価の表示は企業のマーケティング戦略といえる。
 
規制を好む民主党と、自由に委ねればいいのではないかという共和党の戦いは食品表示にも及んでいる。


キャピトルの丘 真珠湾攻撃の夜

第二次世界大戦が終わって67年が経つ。だが、ワシントンDCで12月7日を過ごすと、戦後は続いていることを痛感する。
 
ヘリテージ財団では、真珠湾攻撃の日に先駆けて、映画オナー・フライトのダン・ヘイズ監督とプロデューサーのクレイ・ブロガがスピーチを行った。私は、ある程度の高齢の監督を想像して会場に入ったら、2人とも30代前後の若者であった。
  
この映画は、ウィスコンシン州に住む第二次世界大戦の生き残りの兵士に、ワシントンDCの第二次世界大戦メモリアルを訪問させるというプロジェクトの記録である。
ヘイズとブロガはオナー・フライトのプロジェクトを聞き、映画として残すべき、と考えたという。
 
この映画は、ワシントンDCではプレスセンターと連邦議会、そして真珠湾攻撃の日には、軍人御用達のコンスティチューション・ホールで、合計3回、放映された。
連邦議会での放映チケットは1週間も前から売り切れ、私が行ったコンスティチューション・ホールもほぼ満員であった。子供連れも多く見かけた。
 
この映画に行くにあたっては、勇気が要った。日本人嫌いな人たちがいるのではないか、とか。会場に入るや全くの杞憂であった。記者友達と「日本語で話しないほうがいいかもね」とドキドキしながら出かけたが、会場の雰囲気は清清しく明るい。私たちは開演までの時間、けっこう大きな声で日本語で話していた。誰も気にする風情もない。
 
果たして映画は、ヒューマンドラマとして良いで出来栄えだった。素直に感動した。周囲のアメリカ人からはすすり泣きが聞こえていた。第二次世界大戦の生き残りはすでに80代と90代。高齢であることから時間切れになると、地域のラジオで資金提供を呼びかける。州の商店街もあちこちで資金を募る。ボランティアはどんどん集まっていく。
結果として最大のデルタ機を貸しきり、退役軍人とボランティアはワシントンDCへ。彼らは最高の時間を過ごす。アメリカは戦勝国だが、生き残りの軍人はトラウマを抱えていた。数え切れないほどの薬を服用し日々明るくすごくハービーは、硫黄島の生き残りである。悲惨なヨーロッパ戦線の生き残った人、足がない人も当然いる。戦争中、餓死ぎりぎりでタイム誌の写真に載ったジョー。
ここに集った第二次世界大戦を生き残った軍人は、いまだ、なんらの傷を抱えていた。
それに対して、周囲に人たちは、限りなく優しい。彼らがワシントンからウィスコンシンの空港に到着したとき、空港に入りきらない人たちが出迎えた。その先頭は今の軍人である。
 
アメリカは勝者だからこういうことができる、という声もあるだろう。日本ではこういう取り組みは不可能かもしれない。 
 
日本が第二次世界大戦を考える際には、国際社会の対象としたマクロの視点と、日本のためだと信じて戦った人たちに対するミクロの視点の2つが必要になると思われる。
 
勝者はこの2つを区別する必要はない。ドイツの場合も思考は逆であるが両者を区別する必要がないという意味では同様だ。
 
だが日本の場合は、この2つを明確に分離することで、必要ではないだろうか。
 
第二次世界大戦に対する議論を聞くと、往々にしてこの2つの視点が分離できていないために不用意な問題が起きている気がしてならない。
 
ミクロの視点に国際社会からの焦点を浴びれば批判されるし、マクロの視点で退役軍人を見ると本人も家族もやるせない。
使い分ける能力と手法が、日本には必要なのだろう。
 
 
今年のニュースレターの配信はこれで最後になります。一年間ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

横江 公美
客員上級研究員
アジア研究センター

Ph.D(政策) 松下政経塾15期生、プリンストン客員研究員などを経て20117月からヘリテージ財団の客員上級研究員。著書に、「第五の権力 アメリカのシンクタンク(文芸春秋)」「判断力はどうすれば身につくのか(PHP)」「キャリアウーマンルールズ(K.Kベストセラーズ)」「日本にオバマは生まれるか(PHP)」などがある。

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